マルチタイムフレーム (MTF) 分析・その4
前回、
「100円から103円まで上がった。現在、1円下がって102円になっている。ここから上昇するなら105円まで行くだろう」
という例を出しました。
今回はこの例を使って、長期足での102円から105円までの3円幅の上昇「余地」を短期足で取っていく例を話していきます。
その前に、細かい説明は省略しますが本来、エントリーは
1. 損切り位置を決める
2. 1付近まで引き付けてエントリーする
3. エントリー直後に損切りを実際に設定する
の過程の中の一手順であることを覚えておいてください。
エントリーした後に損切り位置を決めたり、損切りを設定するかどうかを決めるようでは話になりません。
それはまるで、ブレーキのないアクセルだけの車を運転するようなものです。
「大丈夫。運転には自信あるんだ。ブレーキなんかいらないよ」
という人がいるでしょうか? もし、いるとしてもそんな人の車には乗りたくありません。
「相場に絶対はない」。
だからこそ、勝ったり負けたりしながらトータルで利益を出すようにするのです。それがトレードだと思います。
それを少しでも有利に、大きな結果を出すために「引き付けてエントリー」したり、損切りを設定したりします。
何となくとか、有名な人が言っているから損切りをするのではありません。
損切りをする理由はただ一つ。自分の資金を守るためです。
「ものすごいチャンスが来たのに資金がない・・・」では勝負すらさせてもらえません。次のチャンスを活かすために資金を守らなければなりません。
だからこそ、1回1回のダメージを最小限にするためにも「引き付けて」エントリーするのです。
では、ここからはエントリーの話をしていきます。
何を根拠にエントリーしてもいいのですが、エントリーの仕方を考えたときに
1. 単発
2. ピラミッディング
3. 一時的な反発下降でショート
の3つが考えられます。
なお、エントリーはすべて、長期足での102円から105円までの3円幅の「上昇」余地を短期足で見て判断していきます。
「1. 単発」は短期足が 下降→上昇 に転じたときにエントリーします。
利確は 上昇→下降 に転じたときか、短期足で意識されていると思われる上方の価格付近で行います。
これを102円から105円までの3円幅の中でチャンスが来る限り、何度でも繰り返します。
「2. ピラミッディング」は「1. 単発」を エントリー→利確、エントリー→利確、エントリー→利確、と何度も繰り返すのではなく、エントリー、エントリー、エントリーを繰り返して、エントリーをため込んでいくやり方です。
決済は長期足での最終目標である105円付近でまとめて行います。
ピラミッディングは含み益を使ってエントリーを増やしていくので、自分の持ち金が少なくても一気に資金を増やすことができます。ただし、ロット数には注意が必要です。
「3. 一時的な反発下降でショート」はよほど自信があるのでなければ手を出さない方がいいと思います。
短期足での値動きも当然、上がったり下がったりを繰り返しながら動くので、下降時も立派なチャンスとなります。
ただ、大きな向き・流れは上なのですから、無理をしてショートを仕掛ける必要はありません。無理なエントリーは利益を削ってしまうだけです。
大きな流れの中に、たくさんの小さな流れがある。
たくさんの小さな流れが集まって、大きな流れになる。
この、視点の大(長期)と小(短期)を行ったり来たりして判断することをMTFと呼んでいるだけのことです。
とは言っても、この感覚はつかみにくいと思います。なぜなら、普通に生活していれば必要の無い感覚だからです。
でも、この感覚を自分の中に作れればトレードの質が格段に上がると断言できます。それだけ価値があるスキルなのです。
慣れるための方法を2つ挙げますので、よかったらやってみてください。
1. Googleマップで拡大・縮小
2. 短期足のチャートに長期足のローソク足を重ねて表示
「1」の方は「Googleマップ」を使って拡大表示、縮小表示を繰り返してみるやり方です。
https://www.google.co.jp/maps/?hl=ja
世界 > アジア > 日本 > 大阪 > 堺
というように、高い上空から見たり、降りていって中を細かく見たりしてみてください。
自分を空高く飛ばしたり、降ろしたりするイメージです。この視点の移動というか、離れたり近づいたりする感覚をつかんでもらえればと思います。
「2」の方は、「HT FX」というサイトで無料配布しているインディケータを使うやり方です。
詳細は
■ HT_Higher_Candle
http://htfx.blog.fc2.com/blog-entry-188.html
をご覧ください。
例えば、たった1本の1時間足の中にも5分足でなら12本分の値動きが入っていますし、1分足でなら60本分の値動きが入っているわけです。たった1本のローソク足の中に、です。
単に「1本のローソク足」ではなく、どうやってそのローソク足はできたのか、作られたのかを考えながら見てみると、今までとは違ったものが見えてくるはずです。
繰り返しになりますが、
大きな流れの中に、たくさんの小さな流れがある。
たくさんの小さな流れが集まって、大きな流れになる。
を実感できるのではないかと思います。これがいわゆる、MTFなのです。
この感覚が自分の中にできてくると、1つの時間足だけを見てトレードするのがどれほど危険なのかを改めて実感できると思います。
「1つの時間足だけでは上手くいかないな・・・」と感じているのであれば、是非、この感覚を身につけてみてください。
身につければ、成績をプラスマイナス・ゼロにするくらいなら全然難しくないと感じるようになるはずです。